Dry needling is 99% practice and 1% theory.
– 鍼(ドライ・ニードリング)は実践が99%で、理論は1%である
元々の主語は「Dry needling」ではなく「Yoga」だったのですが、鍼灸マッサージ治療にこそぴったりだと思い変えました。
かなり乱暴な表現であることは重々承知していますが、どんな理論的な背景に基づいて鍼灸マッサージ治療を行うにせよ、要するに良い効果を生むか否かは、最終的には、しかるべきところに的確に刺激が入るかどうかに尽きるという事です。(*1)
当院が考える鍼(を含めた手技療法)の神髄は、dry needling という言葉もほとんど知られていない1979年に、KAREL LEWIT (1916 ‐ 2014) が発表した論文に集約されています。
‘‘The Needle Effect in the Relief of Myofascial Pain’’ : Pain, 6 (1979)83-90.
何度読んでも美しい文章だと私には思えます。真理が含まれているからです。(*2)
当院では、このK. Lewit の言う「鍼の効果」を、毎日、確実に発生させることに意識をフォーカスしています。
(*1)
そもそも「しかるべきところ」・「的確な刺激」を知るために理論が必要というのは当然なので、こういうことを言い出すと堂々巡りの議論になってしまいますがこの際ひとまず置いておきます。
専門学校では人体の基本的な構造(解剖学)や機能(生理学)、それらに基づいて運動学、リハビリテーション学、病理学、衛生学、関連法規に至るまで結構幅広く学ぶことになります。もちろん医師免許を取得する場合に比べれば子供みたいな内容でしょうが、一応、国家資格という名のもとにカリキュラムが定められているので、国家資格化されていない他の民間療法とは人体に関する基礎的な知識や理解についての厚みは異なると思います。
そしてそれらに加えて前提に、経穴・経絡をはじめとする鍼灸に特有の分野である東洋医学的な内容を学ぶことになります。こうして最低限のラインをクリアして世に出た後は、各々の興味、信念に従って方向性が決まりその方面で技術や知識を高めていくことになり、東洋医学一筋で行く治療師もいれば、当院のように真逆の方向に進む治療師も出てきます。
患者さんの身体の様子を把握するにも、治療後の予測を立てるにも何らかの理論的な背景がどうしても必要になります。が、この手技療法の分野は結局は「触った感覚がすべて」という感が年を経るごとに強くなっています。
(*2)
なぜ、悪い部位では鍼が当たると響く(痛い)のか、なぜそれによってコリが解け、痛み(筋・筋膜性疼痛)が治ってしまうのか、そして治療後に筋肉痛(運動後のような)が生じうるのか. . . こういったことを理解・説明するための理論的な根拠をポリモーダル受容器の性質に置いています。これによる自分自身に対する納得なしに、響き(悪い部位ほど強くなります)を他人に与える勇気は出ません。あえてコリを外して一時的な鎮痛効果を狙うというおざなりの治療法に逃げることになってしまいます。
“The needle effect in the relief of myofascial pain”; KarelLewit, PAIN., Volume 6, Issue 1, February 1979, Pages 83-90.
The_Needle_Effect_in_the_relief_of_myofascial_pain