答:コリに当たれば痛い(響き)です。当たらなければ痛くないです。
日本では「痛くない」ことが売りの治療院が多いですが、事実としてコリに当たれば痛いです(=響きます)。ここは避けて通れないところです。特に悪い部位ほど響きは強くなるので当院のように極細鍼を使用していても芯にまともにヒットするとかなり響きます。
常識的に考えても、例えば、肩こりや腰痛においては刺激もせずじっと座っているだけでも痛いのに患部が直接刺激されて痛くないというのはどんな理屈なんだと個人的に思います。
まずはそれを認めたうえで、では痛いままで良いのか?というとそれではあまりにも能がありませんからそこに対する工夫の仕方にこそ、技術や知識・センスなどが違いとなって表れるので必死に練習、勉強する必要があるのだと考えています。
理想は最小限の響き(痛み)を出してその後の操作・手技で音量(ボリューム)を上げ下げしていくように無理に我慢せず許容できるレベルまでの間で響きの強さや持続時間をコントロールできることです。実際には皆さんそれぞれ異なるので難しいですがそれを目指してやっております。
当院のように「過敏になったポリモーダル受容器」を対象と考えると、明確な効果を出していくにはある程度の響きは避けられない、というのがある意味、論理的帰結になりますが、この考え方は、事の正誤とは別に、特に日本では主流派に好まれていないのでご注意ください。
例えば日本において「痛くない鍼」を訴える立場が主流のようです。鍼の効果を生むのに必ずしも響く必要はないしコリに当てる必要もないという立場になります。東洋医学的な立場から証が立って経穴が決まったらそこに刺鍼するので響くか響かないかは直接の目的外ですし、筋膜・筋肉まで届かせず浅く皮膚に入れるだけの鍼を行う鍼灸院であればなおさらです。
考え方の違いなので、それで患者様が効果が出て満足されていれば全く問題ないですし、あまり効いてないようだと感じるならば違うやり方の治療院を探すということになるのだと思います。
身体や治療に関する事は本当にたくさんの考え方や流派があり、どれが正しい正しくないというのはほとんど宗教論争に近くまったく建設的ではありません。体質や症状の重さの程度の異なるたくさんの人がいるのでその分だけ多くの治療法も成り立つということです。
例えば当院のようにポリモーダル受容器を重要視したとしても、非侵害刺激レベルからポリモーダル受容器が反応する、という生理学的事実を重要視すれば別に響かなくてもよいのだ、という立場に立って治療を組み立てることも十分可能です。
また、ポリモーダル受容器は皮膚にも当然ありますから皮膚のポリモーダル受容器を刺激すればそれで十分だ、という考えであれば全く痛みのない鍼ということになると思います。
論理的にはそうであっても非侵害刺激レベルの治療刺激に対するポリモーダル受容器の反応と、ある程度の侵害刺激レベルでのポリモーダル受容器の反応は異なる、と私は考えているので当院はこの立場はとりません。また、皮膚のポリモーダル受容器と深部組織のポリモーダル受容器では反応性が異なります。ですので当院は、明らかに弱い刺激で十分な患者様は別ですが、基本的にこの立場はとりません。(遺伝的に弱い刺激で十分という方がいらっしゃることが実際に分かっています。)
響かない(痛くない)鍼で鍼鎮痛的な効果として痛みの軽減が得られてもコリは依然として残ります。したがってしばらくすれば痛みは戻ってきます。当院では他の治療で効かない方、コリを無くして痛みを取りたい方を主な対象としていますのでご希望される方は是非いらしてください。